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| ■婦人科のガン検診 |
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[子宮ガン検診]というと内診台にあがって子宮の入口から、ちょっと細胞を採られることと思っていませんか?それは進行した子宮頸ガンによる死亡が日本に多かった頃から今でも一部で行なわれているやり方です。発展途上国が婦人科検診バスなどを使って進めている方法と同じで、ついでに婦人科検診もする子宮頸ガンだけの検診システムでもあります。
子宮頸ガンと子宮体ガンは発生機序が全く別のガンですから、子宮ガンという言葉でまとめるのは誤りです。
先進国日本においては、年に一回の健診というのであれば、内科的職場検診などで、ついでにではなく産婦人科で子宮頸ガン、子宮体ガン、卵巣ガンなど全体の〔図@〕検診を受けることをお勧めします。 |
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| 図(1)子宮体ガン・子宮頸ガン・卵巣ガン |
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| 現在の[婦人科ガン検診]というのはまず経腟ならびに経腹超音波〔図AB〕で、@子宮体部を診て、(a)子宮筋腫や腺筋症はないか (b)内膜が異常に厚くなってないか検討する。
A左右の卵巣を診て、(a)卵巣嚢腫や卵巣ガンは無いか (b)卵胞が発育しているかチェックする。 B卵巣と子宮の周辺を検索して子宮内膜症の存在を検討する。 |
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| 図(2) 経膣超音波検査 |
図(3) 経腹超音波検査 |
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次いで内診(双合診)をして、子宮、卵巣、卵管を全体的に診てから外陰、腟腔、尿道口などに異常がないことを診ます。そしてコルポスコープ〔図C〕で子宮頸部を診て、細胞診をし〔図D〕、必要に応じて子宮内腔を細いブラシで探り〔図E〕内膜細胞診をします。
このようにすればついこの前検診に行ったのに、今日は卵巣ガンと言われた、子宮体ガンと言われたといったような事が無くなります。
[子宮頸ガン]は〔図C〕のようにコルポスコープで子宮口を拡大して診ます。分泌物や粘液を充分取り除いて子宮口の周辺から上皮細胞を採取して調べる方法を子宮頸部細胞診〔図D〕といいます。クラスVa、Vbなど〔表(1)〕と診断された場合、前ガン病変(異型上皮)〔図F〕が在ることが疑われ、再検あるいは精密検査が必要です。
細胞診による検診は現在診断の正確度を上げるためにブラシなどで細胞を採取したら、ガラス上に塗るのではなく、固定液の入った小ビン内に全部集めて固定・処理をする液状細胞法が常識となっています。
細胞診断基準は日本産婦人科学会もベセスタシステム(The Bethestha System)〔表(1)〕を使うこととしました。
さらにヒトパピローマウィルス(HPV)の感染が子宮頸ガン発生の第一歩であることが判ってからは、細胞診で異常が疑われた場合、しばらく間をおいて再検すると同時にHPVにはガンへのリスクが高いタイプ(16型、18型、31型、45型、52型、58型など)とガンへのリスクが低い型(6型、 11型など)があるのでどちらかを調べるための検査といえるHPV−DNA検査が導入され(近々保険適用になるはず)、より正確な早期発見ができる様になっています。 |
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| 図(4)コルポスコピー(子宮の入口を診る) |
図(5)ブラシ法による子宮頸部からの細胞採取 |
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| 図(6)子宮内膜からの細胞採取 |
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表(1)細胞診の評価と指針
その1:扁平上皮系
| クラス分類 |
結果 |
略語 |
推定病変 |
指針 |
| @T,U |
陰性 |
NILM |
異常なし |
定期検査 |
| AU-Va |
意義不明な
異型扁平上皮細胞 |
ASC-US |
軽度な
扁平上皮内病変 |
精密検査
1.HPV検査を併用してみる
陰性:一年後再検
陽性:コルポ,生検
2.HPV検査をしない場合
6ヶ月以内に細胞診 |
| BVa,Vb |
HSTLを除外できない
異型扁平上皮細胞 |
ASC-H |
高度な
扁平上皮内病変 |
精密検査
コルポ・生検 |
| CVa |
軽度扁平上皮内病変 |
LSIL |
HIV感染
軽度異形成 |
DVa
Vb
W |
高度扁平上皮内病変 |
HSIL |
中等度異形成
高度異形成
上皮内癌 |
| EX |
扁平上皮癌 |
SCC |
扁平上皮癌 |
その2:腺,細胞系
| FV |
異型腺細胞 |
AGC |
腺異型または腺癌 |
精密検査
コルポ・生検
頸管と内膜の細胞診
または組織診 |
| GW |
上皮内腺癌 |
AIS |
上皮内異腺癌 |
| HX |
腺癌 |
Adenoca |
腺癌 |
| IX |
その他の悪性腫瘍 |
other maling |
その他の悪性腫瘍 |
精密検査
病巣検索 |
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子宮頸ガンは第一段階としてセックスによってパピローマウィルスが子宮の入口に感染して、正常な細胞が変化して異形成となりその極く一部がガンになるものということが判ってきました。子宮頸ガンの発症数は全体では年々減少していますが、反比例するように30才未満の若年層の発症頻度が増えています。一度でもセックスの経験があればということで子宮頸ガンの検診は20才からとなりました。
キチンと上皮細胞を採取・処理する産婦人科で検診を受け、早い時期の変化を見つけましょう。早期の異常はその部分だけを処置すれば治癒しますし、妊娠・分娩が可能なように子宮を残せます。
[子宮頸ガンについてのまとめ]
@ 図(1)のように子宮の入口にできるガンで子宮の奥にできる子宮体ガンは全く別のもの。
A 日本では1年間の約15,000人が子宮頸ガンであると診断され、約2,500人が子宮頸ガンのために死亡する。
B ほとんどがセックスによって移るヒトパピローマウィルス(HPV)が 原因であることが判明した。
性交とは縁のない尼層にも稀に発生する。
C HPVには約120種類の型があり、そのうち15種類の型が子宮頸ガンに関連するハイリスク型である。
D HPVは性交渉で移り、普通に性交経験のある大人であれば80%の人が一度は感染するもので、性病とは言わない。
E 子宮の入口(子宮頸部)に付いたウィルスは通常免疫力で排除される。ウィルスの型がハイリスク型で免疫力の弱い約10%の人では“異形成”という状態がつづき、さらに約1%の人で数年から10数年かかって前ガン状態からガンへと変化してゆく。
F 予防ワクチンが開発され、日本でも2009年末より希望者に使用が始まった。
[子宮頸ガンワクチン]
HPV16型、18型の感染を予防するワクチンが日本でも認可された。(英国GSK社の、“サーバリックス”)。(米国のメルク社の“ガーダシル”も近々発売予定)
ワクチンは無毒で安全、効果は最低6年、約10年間は続く。日本女性のセックスデビューの年令からみて、10才から15才までに接種し、20才台からは検診を主体とするのが最も効果的と考えられている。
ワクチンはすでに感染しているHPVを消失させる治療効果は無い。しかし感染しているHPVが一度排除された後にワクチンを接種することで、再感染を防ぐことが出来る。従って15才迄に接種を受けなかった15才〜26才の女性には、catch−up接種(追いかけ接種)が勧められる。
6ヶ月間のうち3回注射をする。費用は合計約5万円とされている。
ただ日本人の場合子宮頸ガンの原因となるタイプである16型、18型は50〜60%位なので交叉免疫を考えても効果は70〜80%にとどまる可能性もある。
日本の国立感染研究所は15種類のハイリスク型HPVすべてに効果を期待できる第2世代のワクチンをすでに開発し臨床試験を始めているので日本人を含めアジア人に多い52型、58型にも対処できる100%のワクチンが近い将来できそうである。
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[産婦人科領域のレーザー治療]
子宮頸ガンの検診が20才からとなって以来、異形成(前ガン病変)が若い人にみつかることが多くなってきました。軽度の細胞診の異常 (Va±)がなかなか消えない場合、放置していて消えるのを待ちましょうと云われても気持ちがよくないものです。そんな時にレーザーで蒸散させてしまうのも一つの方法です。
レーザー治療は、外陰や腟壁のコンジローマや頸管ポリープの切除、帯下のひどい出血性の膣部びらん、バルトリン腺膿瘍の開窓術などにも利用されます。 |
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[子宮体ガン(内膜ガン)]は〔図@〕の様に子宮の奥の方に出来るガンで40才以下では稀です。
肥っている人、糖尿病のある人、高血圧の人、分娩をしていない人には発生率が高いので注意が必要です。
更年期や閉経後に不正性器出血のある場合には体ガンが疑われます。水様のおりものが出る場合もあります。
子宮体ガンの診断は一般にはまず〔図E〕の様に子宮内腔から細胞を集めて細胞診を行います。何か怪しいということになると、子宮鏡で診たり[図G]、子宮内腔を探り、ソーハをして組織検査[図H]をします。痛いので麻酔を行なう場合もあります。子宮の入口が狭かったり閉じたりしている場合は、経腟超音波[図A]で子宮体内膜が不整に厚くなっていないか診ます。術前にはガンの拡がりを見るためにMRIで検査します。 |
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| 図(8)子宮鏡による子宮内腔の検査 |
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図(9)子宮内膜組織検査 |
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| ■卵巣ガン |
[卵巣ガン]は症状が無い場合が多く、診断された時は進行していることも多い、婦人科領域で最も死亡率が高いガンと言えます。しかし卵巣の中に限局した早期ガンは画期的な治療薬も現われ、予後が良くなっています。卵巣ガンは特に早期に見つけることが重要なのです。
そのためには子宮ガン検診の時に一緒に内診と経腟超音波〔図A〕で卵巣の状態をチェックすることが大切です。疑わしい場合はCA−125、SLXなどの腫瘍マーカーを調べたり、MRI(磁気共鳴映像法)による詳しい検討が必要です。
卵巣ガンは非常の多種多様です。例えば漿液性嚢胞腺癌というタイプは詳しく検診した3ヶ月後に突然腹腔に拡がったような状態でみつかるというようなこともある恐ろしいガンです。 |
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| ■乳ガン |
[乳がん]は乳房の中にある乳腺(乳管、小葉)に発生します〔図(1)〕。30才で少し増え始め、40才台ではっきりと増加を示します。そして女性の一生を通してみると、およそ30人に1人が罹る病気となっていますが、早期に発見し、早期に治療すれば乳房を温存でき、治癒率の高いガンといえます。
自己検診で見つけることも可能なので、月経が終わった頃に図(2)、(3)のように自分でチェックしてみましょう。 |
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| 図(1)乳房の断面 |
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図(2)乳癌の自己検診@ |
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| 図(3)乳癌の自己検診A |
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[乳ガン検診]は視診と触診により乳頭、乳房周辺の皮膚を診て、40才以上の人、そして一部の30才台の人でも、マンモグラフィー〔図(4)〕を行ない"しこり"を形成する前の異常を見つけようというのが一般的になりました。しかしマンモグラフィーも100%確実というわけではなく、いくつかの問題点が指摘されています。
| 1) |
乳ガンが増えてくる30才台では乳腺組織がまだ豊富でマンモグラフィーが無効な例もある。 |
| 2) |
充分な機能を持つ撮影装置でないと非常に小さな石灰化像を見逃し早期ガンを発見できない。 |
| 3) |
充分な読影の経験をつんで、学会の試験にパスした専門医がまだ不充分で、ダブルチェック(二重読影)体制を確立している機関はまだ少ない。 |
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図(4)マンモグラフィー |
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| 触診で"しこり"が疑われる場合は乳腺用超音波〔図(5)〕で診ます。はっきりしとした"しこり"が認められる場合は乳腺穿刺細胞診〔図(6)〕を行い、単に液が溜った嚢胞か、ガンの疑いがあるのか検討します。はっきり診断ができない場合は乳腺MRIやマンモトーム(乳腺腫瘍画像下吸引術)が行なわれることがあります。 |
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